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【vol.4】SWAT施策1期生の取り組みを紹介!


こんにちは、モバイルファクトリー(以下、モバファク)でプランナーをしているコーイチ(@apple_51)です!

この連載では、全社横断の特別チームをつくって生成AIのリスキリングに取り組む「SWAT施策」について紹介しています。

前回までの記事はこちら:

前回まではSWAT施策の概要をお伝えしてきましたが、今回は実際に業務へ生成AIを活用した事例を取り上げます。少しでも各企業の推進担当者様のお役に立てば幸いです。

SWAT施策の1期生とは

SWAT施策は2期生まであり、1期生は、人事・経理財務・法務・コンテンツ制作・デザインチームから選ばれたメンバーが集まりました。約半年間、生成AIを業務に取り入れながら成果を検証してきた結果、ユースケースは合計65件に上りました。

本記事では、その中から代表的な事例をピックアップしてご紹介します。

経理財務 | 分析業務へClaudeを活用

これまで分析業務には多大な時間を要しており、この課題を解決する手段として、Claude※1のArtifact機能※2を活用しました。検証を進める中で、IR領域とも親和性が高いことが判明し、現在では幅広い用途で役立てています。

※1 大規模言語モデル(LLM)の一種
※2 グラフや図解などの視覚的なコンテンツを生成する機能

1.ユースケースの紹介

売上情報の分析:売上情報をCSVデータで読み込ませて分析の示唆を得ました。また、Artifact機能を用いて資料作成の参考にしました。

IR分野での活用:決算説明会資料に記載する分析コメント等の草案作成に活用しました。さらに、作成済みの資料を読み込ませて、想定質問の作成にも役立てました。

2.得られた効果・気づき

  • 2時間かかっていたタスクを30分で完了
  • 生成AIによる異なる視点や仮説の提供により、分析の深度とクオリティが向上
  • 社内版ChatGPT※3と比較検証を行った結果、Claudeは自社業務に近い視点での分析が得意ということがわかった

※3 社内版ChatGPT は OpenAI API を利用し4o モデルを提供

3.苦労したこと

  • 一度に読み込めるデータ量に制限がある
  • Artifact機能で作成される画像の品質は、そのまま外部資料には使うことは難しい

大容量データは分割して対応し、ビジュアライズは社内資料や参考用に活用しています。

人事 | バックオフィス横断のマニュアル作成

人事主導で労務・経理財務・法務の視点を踏まえた運用を検討した際に、その経緯や結論を社内版ChatGPTで迅速にマニュアル化しました。複雑な内容を改めてまとめるのに時間がかかるという課題を解決しました。

1.ユースケースの紹介

チャットで議論した内容のマニュアル化:議論のチャット内容(発言者や時刻、リアクションを含む)をコピーし、「以下は○○の運用を相談したチャットです。この内容を元に○○のマニュアルを作成したいです。」というプロンプトと共に社内版ChatGPTに送信。これにより、マニュアルの草案を迅速に作成することができました。

2.得られた効果・気づき

  • 1時間かかっていたタスクを20分で完了
  • 草案があるため着手の負担が減り、マニュアル作成が後回しにならない
  • 新たに参加したメンバーでも状況を追いやすくなる
  • 作成時に全体像を把握しやすく、編集操作が少なくて済む

3.苦労したこと

  • チャット内で定期的にまとめコメントが必要

議論が長引く際、「一旦ここまでをまとめると~」といったコメントを挟むことで、社内版ChatGPTの解釈精度を維持できました。一方、まとめがない場合は精度がやや低下する傾向がありました。

法務 | 事業部メンバー用のプロンプト作成

日常的に最も件数が多い、契約書の確認業務に生成AIを活用しました。

1.ユースケースの紹介

初期レビューへの活用:契約書のリスクポイントや不備を生成AIに指摘させることで、初期レビューの時間を短縮しています。

事業部門での活用:事業部門のメンバーが契約書を確認するための専用プロンプトを作成し、セルフチェックを可能にしました。

2.得られた効果・気づき

  • 1時間かかっていたタスクを30分で完了
  • 契約書レビューに対する心理的ハードルが低下
  • 業務効率化に加え、事業部門と法務部門の連携が強化
  • 実態に基づく契約書レビューが可能になり、手戻りの削減にも貢献

3.苦労したこと

  • 複雑な契約内容には不向き
  • プロンプトの浸透が課題

3社間契約など内容が複雑なものでは、レビュー精度の担保が難しいため利用を控えています。また、作成したプロンプトをどれだけ事業部メンバーに利用してもらうかが今後の課題です。

推進担当者としての視点

生成AIを効果的に利用するには、ツールごとの特性を理解したうえで、適切なツールと運用方法を選定することが重要だと実感しました。

次回は、エンジニアで構成された2期生の取り組みをご紹介します。

また、私たちと同じように社内のリスキリングに取り組んでいるご担当者様がいらっしゃいましたら、ぜひ情報交換をさせてください。XのDMまでご連絡ください!

最後までお読みいただきありがとうございました。
次回もぜひご覧ください!


使用した生成AI

・ヘッダー画像:Adobe Firefly
・文章の校正校閲 / タイトル案のアイデア出し:社内版ChatGPT

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