こんにちは、モバイルファクトリー(以下、モバファク)でプランナーをしているコーイチ(@apple_51)です!
この連載では、全社横断の特別チームをつくって生成AIのリスキリングに取り組む「SWAT施策」について紹介してきました。
前回までの記事はこちら:
最終回となる今回の記事では、本施策で得られた成果と振り返り、今後の展望についてご報告します。SWAT施策で得られたデータと、直近の全社アンケートのデータの2つを元に記載します。
SWAT施策の実績
ユースケース数
施策期間中、参加メンバーは検証を重ねて計105件のユースケースをドキュメントにまとめ、社内で共有しました。
2期生の作成数は1期生よりも少ないですが、これは時間のかかる大型の検証を行っていたためです。また、SWAT施策に参加していない社員による作成も見られ、組織全体への広がりが感じられました。
(詳細は第3回の記事 > 「検証」を参照)
工数削減率
各タスクの作業工数を施策前後で比較した結果、全体で平均14.24%の工数削減を達成しました。1期生のうち人事・経理・法務に絞った場合の各部署の削減率は特に高く、対象業務との親和性が伺えました。また、2期生は検証数自体は少ないものの、高い工数削減率を達成しました。
(詳細は第2回の記事 > 「研修3回目:業務分解ワーク」を参照)
社内版ChatGPTの利用実績
次に、2024年12月に行った社内版ChatGPTの利用に関する全社アンケートの結果を見ていきます。
社内版ChatGPTの利用率
「直近の1ヶ月の業務に取り組む中で、どの程度社内版ChatGPTを利用しましたか?」という質問で利用率を調査しました。
利用率は順調に成長を続けて、社員の75%が「利用あり」に該当しました。「利用あり」は週に1回以上利用する場合を指し、詳細な分布は以下の通りです。
社内版ChatGPTの総利用回数
第1回の記事でも触れた全社における社内版ChatGPTの総利用回数でも大きく成長することができました。6月末と9月末との比較では、約3ヶ月で3倍以上の成長を実現することができましたが、12月末では約半年間で6倍以上の増加を達成することができました。
SWAT施策を振り返って
上記の通り、社内の生成AI活用を促進できたと感じております。
最後に施策を振り返り、「よかった点」/「気づき」/「ネクストアクション」をまとめます。
よかった点
- ボトムアップで提案した本施策が、経営陣や全社の理解を得られた
- 業務全体を把握する中核メンバーをアサインすることができた
- メンバーの工数確保を担当管理職と握ることができた
- メンバーが自身の現場向けに研修講師をするなど、同じバックグラウンドで生成AIの教育をすると発言が増えて上手くいった。また、朝会等で「生成AI利用の失敗事例を話す場」を設けることで使い慣れていないメンバーからも発言が増えた
- メンバーへのリスキリングは非常に好調で、現場の利用率も向上した
気づき
- 筆者は「社内版ChatGPTの使い方100本ノック」が一番効果的な研修だと感じていたが、メンバーはグループワークをより効果的と評価した
- 「他メンバーの利用方法や考え方を知る」ことが、実践力の向上につながったと考えられる
- 定例ミーティングでも同様のメリットが得られていた
- 利用率は向上した一方で、全社員が同等のスキルに到達したとは言い難い
※ 「社内版ChatGPTの使い方100本ノック」やグループワークの内容については第2回の記事 > 「研修2回目:社内版ChatGPTの基礎的な使い方」を参照
ネクストアクション:利用率から質へ
本施策を通じて全社的な利用率向上を達成することはできましたが、今後は、単に利用率を向上させるだけでなく、利用の「質」を高める必要があると考えてます。
全社員のスキルレベルをSWATメンバー以上に引き上げ、さらに自発的に業務改善に取り組める体制作りが今後の課題です。
さいごに
全6回にわたる連載も今回をもって最終回です。
SWAT施策の概要や成果についてお伝えすることができたと思います。
私自身も生成AIの促進担当として成長できました。
イベントで本施策を紹介したことがきっかけで、他社の推進担当者様と情報交換の機会をいただいたこともありました。また、先日生成AIサミット vol.4にて行われた「明日から使える!生成AI活用コンテスト!」にて第1回グランプリを受賞させていただきました。これもひとえに、本施策による成果と皆さまのご協力のおかげです。
これからも積極的に生成AIの活用について取り組んで参ります。
また、私たちと同じように社内のリスキリングに取り組んでいるご担当者様がいらっしゃいましたら、ぜひ情報交換をさせてください。XのDMまでご連絡ください!
最後までお読みいただきありがとうございました。
使用した生成AI
・ヘッダー画像:Adobe Firefly
・記事中の画像:Claude
・文章の校正校閲 / タイトル案のアイデア出し:社内版ChatGPT
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